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2015年2月21日土曜日

抗血栓薬の雑なまとめ

抗血栓薬

止血機構

一次止血

露出したコラーゲン繊維に血小板が接触すると、血小板表面の糖タンパク質複合体の構造が変化し、フィブリノーゲン結合部位が露出することで、血小板凝集塊が形成される。

血小板凝集塊の形成にはコラーゲン繊維に粘着した血小板から分泌されるアデノシン5’-二リン酸(ADP)、セロトニン、トロンボキサンA2(TXA2)や血中のトロンビン、PAFによって促進される。

二次止血

血漿中の凝固因子によってフィブリンが形成される。凝固系には内因系と外因系がある。

内因系はコラーゲンやカリクレインなどの異物接触によって第VII因子が活性化することで反応が始まる。一方、外因系は血管障害により漏出した血液が血管内皮から遊離された組織トロンボプラスチン(第III因子)と接触することで反応が始まる。

線溶系

血管の修復が終わると、プラスミンによってフィブリオン分解が行われる。

血液凝固阻害薬

ヘパリンおよびヘパリン類似薬

ヘパリンは陰性に荷電したムコ多糖で、アンチトロンビンIII(ATIII)と複合体を形成することでATIIIの作用を増強する。ATIIIによってトロンビン第Xa因子などのセリンプロテアーゼの活性化が抑制される。

ヘパリンは消化管からの吸収が悪いため、注射で用いる。作用発現は速いが持続時間は短い

ヘパリン類似薬(ダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、パルナパリン、レビパリン)ではATIIIによるトロンビン阻害作用よりも第Xa因子阻害作用が強い。また作用時間は長くなっている

フォンダパリヌクスはATIIIに結合し、第Xa因子活性を増強するが、抗トロンビン活性は増強しない

ヘパリンは妊婦に使用可能だが、ヘパリン類似薬(ダルテパリン、パルナパリン、レビパリン)は妊婦に使用しない

ワルファリンカリウム

クマリン誘導体である。VKと拮抗し、プロトロンビン(第II因子)、第VII、IX、X因子などのVK依存性の凝固因子の合成を阻害する。

胎盤を通過するため、妊婦に禁忌である。作用発現は遅く、持続時間は長い

ATIII非依存的な抗トロンビン薬

ガベキサート、ナファモスタット、アルガトロバン、タビガトランエテキシラートはATIII非依存的に抗トロンビン作用を示す。ダビガトランエトキシラート以外は注射で用いる。

直接Xa因子阻害薬

エドキサバン、リバーロキサバンは第Xa因子を直接阻害する。

血栓溶解薬

ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター

ウロキナーゼは血栓上のプラスミノーゲンとの親和性が低く、血漿中のプラスミノーゲンからプラスミンへの変化を促進する。プラスミンの大部分は血漿中のフィブリンを分解するため、出血傾向が起こりやすい

急性心筋梗塞の冠動脈血栓の溶解には、発症後6時間以内に投与する。

組織プラスミノーゲンアクチベーター

アルテプラーゼ、モンテプラーぜは血栓上のプラスミノーゲンとの親和性が高く、血栓上のプラスミノーゲンを活性化して血栓を溶解するため、ウロキナーゼと比べて出血傾向は少ない。

急性心筋梗塞の冠動脈血栓の溶解には、発症後6時間居ないに投与する。また、虚血性脳血管障害に伴う機能障害の改善(アルテプラーゼのみ)には、発症後4.5時間以内に投与する。

抗血小板薬

TXA2合成阻害

アスピリン(低容量)、オザグレル、イコサペント酸エチル

5-HT2受容体遮断薬

サルポグレラート

ADP受容体遮断薬

チクロピジン、クロピドグレル

PGI2誘導体

ベラプロスト

ホスホジエステラーゼ阻害薬

ジピリダモール、シロスタゾール

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